顔面・眼瞼痙攣

顔面痙攣とは

表情を動かしたり、口を動かしたり、眼を開けたり閉じたりする顔面の筋肉が、自分の意思とは関係なくピクピクと痙攣して勝手に動いてしまう疾患です。
多くの場合、下まぶたが痙攣する程度で、特に困らない場合は放置しても大丈夫なのですが、進行すると症状が顔全体に拡がり、人と話している時、食事中などにあらわれやすくなります。また緊張している時にもあらわれることがあり、人前に立つことや、運転などの際に実害が出てしまうこともあります。その場合は治療を行います。
原因は、顔の筋肉の動作を司る顔面神経が何らかの事情で障害されていることによるケースが多く、その中でも血管と神経がぶつかって起こっている場合がほとんどですが、稀に腫瘍ができて、その腫瘍と神経がぶつかっているような例もあります。また、ストレス要因をきっかけに起こることもあり、原因がわからない場合もあります。
発症は40歳以上で増え始め1対2で女性に多いという報告があります。

診断

顔面神経とぶつかっている動脈や腫瘍がないか、など顔の神経を細かく検査する必要があり、MRI検査を行うことになります。MRI検査を行う場合は、提携する間中病院にて検査を受けていただくことになります。

間中病院

治療法

薬物療法

顔面痙攣では、神経が過敏になっている事が多いため、まずは、神経の興奮を鎮める働きのある、抗てんかん薬を使用して薬物療法を行います。身体には負担が少ない治療法で、投与開始後に、再診に来ていただき、薬の効果や副作用の有無などについてお訊きし、薬剤服用の量や回数を加減していきます。
副作用としては、神経を落ち着かせる作用によって、眠気やふらつきが出る場合があります。

ボツリヌス毒素(ボトックス)注射

ボツリヌス菌が筋肉の動きを麻痺させる毒素を出す性質を利用し、その有効成分であるたんぱく質のみを抽出して、さらに希釈して無毒化したボトックスという薬剤を勝手に動いてしまう筋肉の何か所かに注射し、表情筋の動きを抑える療法です。
ボツリヌス菌と言っても、恐れることはなく、しっかりと安全性を審査され承認されている医療用の薬品ですのでご安心ください。
効果は95%程度と非常に高いのですが、3〜4か月でその効果は切れてしまいます。その後再発するようでしたら、引き続き注射を繰り返す必要があります。

手術

検査の結果、神経と血管がぶつかっているケースがはっきりした場合、根治療法を希望される方には、微小血管減圧術といって、接触している顔面神経から血管を外す手術を検討することがあります。

眼瞼痙攣とは

顔面痙攣と言葉は似ていますが、眼瞼とはまぶたの事で、眼の周りの筋肉だけが痙攣を起こし、眼が開けにくい、瞬きができないといった症状が、ほとんどの場合両目でおこります。またその他の症状として、ちょっとした光でもでも眩しく感じる現象が起こることが知られています。
40~50歳代に多く発症し、2.5倍ほど女性に多い疾患です。症状が軽く自分でも気づいていないような例まで含めると国内では1000人に3~4人程度の罹患者がいるという報告があります。

原因

原因として一番多いのは、筋肉の緊張に異常を起こして、筋肉がつかさどっている運動や姿勢などに異常を起こす局所性ジストニアによるものと考えられていますが、その他にも脳性麻痺などから起こる症候性のもの、抗精神病薬などによる薬物性のものなどもあります。
症状から、ドライアイによるものと誤診される例がかなり見られます。

治療法

ボツリヌス毒素(ボトックス)注射

薬剤由来の場合、その薬剤の使用を中止すると症状が軽快することがあります。しかし、抗精神病薬の場合は、統合失調症や認知症治療として使われるため中止は難しい選択になります。
局所性ジストニアの場合も含めて、多くの場合、ボツリヌス菌が筋肉の動きを麻痺させる毒素を出す性質を利用し、その有効成分であるたんぱく質のみを抽出して、さらに希釈して無毒化したボトックスという薬剤を使った療法が有効です。両側の眼の周りの筋肉に少しずつ何か所か注射し、筋肉の動きを止めます。
ボツリヌス菌と聞いて、びっくりする方もいると思いますが、しっかりと安全性を確認した上で承認されている治療薬ですので安心してください。
ただし、3〜4か月で効果は切れてしまいます。その際、再発するようなら繰り返し注射する必要があります。

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